読書

『作家小説』有栖川有栖 ISBN:4344405455 感想:母さん、僕頑張ったよ。 再読に堪えないという作品ではありませんでしたが、読もうと思ってる本が周りに溢れてる状況では少し辛かった。ほんとにつまらない本を何度も何度も読まされると、悟りが開けるのでは…

『呪文字』倉阪鬼一郎 ISBN:4334737269 袋とじ付きのホラー長編。長編となってますが中篇くらいの長さです。最後が投げっぱなしなのでどうなったのか良くわかりませんでした。僕的には傑作の似たプロットの小説と比べてしまい、分量の差はありますが、あまり…

『贋作『坊っちゃん』殺人事件』柳広司 ISBN:4022576707 僕は『坊っちゃん』を読んでないので良くわからないのですが、おそらく後日談の体裁をとってるのだと思います。坊っちゃんが松山を離れて3年後、赤シャツの自殺の話を山嵐に聞くことから話は始ります…

『QED〜ventus〜鎌倉の闇』高田崇史 ISBN:4061823841 いつもながら、正史では語られない裏の仮説が面白いです。これまで血や伝統というものに縛られて起こることの多かった事件が、今作では鎌倉時代のある人物をなぞったような形になってます。事件自体と…

『顔のない骸』千秋寺亰介著 を読みました。書き下ろし本格推理などと書かれてますが、これは本格ではないと思います。推理もしますが、基本的に犯人の告白で事件は解かれていきます。探偵役は合いの手をいれるだけと言ってもいい。不可解な状況、衆人環視の…

『妖奇城の秘密』芦辺拓

ISBN:4052020847 『6年の学習』(学研)に連載されてて、帯に鉄拳のおすすめがついた作品。媒体からもわかるけど、ジュブナイルです。乱歩の『少年探偵団シリーズ』へのオマージュが感じられます。そして芦辺拓なのでそこに本格味がプラスされてます。すれ…

『三国志全人名辞典』「中国の思想」刊行委員会[編著]

ISBN:4198602042 3734人中758人でした。1000人くらいなんて言っちゃったけど800人もいかなかった。ちくまの正史の残り3冊も読まなきゃ。

『日本社会の歴史(下)』網野善彦著

ISBN:4004305020 社会と「国家」とのせめぎあいの前近代史を、社会の側からとらえなおす通史の完結編。下巻は南北朝の動乱から地域小国家が分立する時代を経て、日本国再統一までを叙述し、近代日本の前提とその問題点を提示。十七世紀前半、武士権力によっ…

『シェルター 終末の殺人』三津田信三著

シェルターに逃げ込んだ作家・三津田信三の眼前で繰り広げられる連続密室殺人。世界滅亡の恐怖に晒されている今、犯人はなぜ殺人を続けるのか? 鬼才が放つ終末のミステリ。 読み所は初対面であるはずの人達がなぜ殺されなければならないか、という部分。伏…

『各務原氏の逆説』氷川透著

事件自体は地味だし、犯人に至るプロセスもいつもの粘着的ともいえるロジックはないですが、いろいろと絡みあう人間関係を紐解いていくくだりは好きです。各務原氏とぼく(リョー)の会話が軽妙で楽しいです。氷川さんの他の作品と比べて少し軽めではあるけ…

『鬼がつくった国・日本』小松和彦・内藤正敏

ISBN:433471434X 図書館本。《鬼》とは山の民・海の民・川の民・下級宗教者・芸能等の人々。こういう人達は1箇所に定住してなかったり、横の連携があることで、種々の情報を持っていた。だからこそ、時の権力者に利用され、用が済めばその役割を持っていた…

『2ちゃんねる住人はばかじゃない』

帯の 「2ちゃんねる」の面白ネタ、大放出! に惹かれて買いました。特別爆笑するのはなかったです。 ショッカーに入ったけど先行き不安です セックスの時に吹きだしそうになった瞬間 彼女が言った爆笑喘ぎ声!!! 葬式でやっちゃった… Windowsが家電の中心に…

『闇のなかの赤い馬』竹本健治著

聖ミレイユ学園で神の怒りとしか思えない悲劇があいついだ。ウォーレン神父は校庭の真ん中で落雷に遭って焼け死に、さらにベルイマン神父が密室と化したサンルームで、人体自然発火としか考えられない無残な焼死体となって発見されたのだ。「汎虚学研究会」…

『生者と死者 銘探偵ヨギ ガンジーの透視術』泡坂妻夫著

ISBN:4101445060 図書館本。当然袋とじは開かれてますが、見開きにページが書いてくれてるので短編小説も読めました。よくこんな事やるなという感じです。描写に違和感が少々ありますがそれも仕方ないのでしょう。事件自体はそんなに魅力的ではないけれど、…

『超・殺人事件 推理作家の苦悩』東野圭吾著

天下一大五郎ものはミステリ小説をパロってたけど、本作は本の作り手をブラックに、シニカルに描いた短編集。 「超税金対策殺人事件」 1番読んでて愉しかった作品。メタレベルの為だけに存在させる小説というのが好いですね。 「超理系殺人事件」 エセ理系…

『鬼神伝 神の巻』高田崇史著

今日買いました。そして読みました。 いままで読んできたミステリーランドのなかで1番ミステリ度が低い。が、ジュブナイルとしてはよくできていると思う。このレーベルでなくてもよかったのではとも思う。例えば青い鳥文庫だったら、個人的には(懐的には)…

『日本の聖と賎 中世篇』野間宏・沖浦和光著

ISBN:4409240196 時代は降るが少し『鬼神伝』とも係わりがある。また、宗教史・芸能史的な面も持つ。著者2人の対談形式で綴られるので内容が分りやすい。差別されてきた人々の生きるためにやっていた事が現代社会では伝統芸能*1として残っている。こうして…

『鬼神伝 鬼の巻』高田崇史著

ミステリーランド第三回配本の1冊。主人公は現代からタイムスリップして平安時代に飛ばされて鬼退治をさせられる。鬼とはなにもので、なぜ鬼は退治されなければならないのか?著者の他の作品や京極夏彦の作品を読んでたらすんなりはいっていける世界。ミス…

『霧舎巧 傑作短編集』霧舎巧著

僕は霧舎巧は別に嫌いではありません。ただ、どうでもいい部分があるだけです。 「手首を持ち歩く男」「紫陽花物語」は『本格推理シリーズ』に収録されてた作品。「紫陽花物語」は読んだ記憶があったけど、「手首を持ち歩く男」は忘れてた。読んだの憶えてて…

『極限推理コロシアム』矢野龍王著

第30回メフィスト賞。メフィ賞らしいかもしれない。とりあえず反転。本格ミステリ的な思わせぶりな設定があるけど、なんの意味もなかったり、死んでいく人達が推理にほとんど寄与しないのは寂しいな。他に出入りできるかもしれない進入口があればもう少し…

『江戸三〇〇藩 最後の藩主』八幡和郎著

幕末の激動の時代を藩主達がいかに行動したのか。どの藩にも尊王派と佐幕派がいるなかでの藩としての方向を決めるのは難しかったとは思う。しかし取り潰しや減封、家老の切腹はありはしたが、責任をとらされて藩主達が殺されないのは以外だった。

『日光東照宮の謎』高藤晴俊著

豪華絢爛な日光東照宮は徳川家康を「神」と祀る。なぜ日光の地なのか。東照大権現とはいかなる神か。創建にまつわる謎と、彫刻が伝える壮大なコスモロジーを解読。 高田崇文さんの『QED 東照宮の怨』にも絡んでた本。著者独自の視点から東照宮の場所の選…

『しゃばけ』畠中恵著

江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう身体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出す事に。若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖…

『文学賞メッタ斬り!』大森望・豊崎由美著

有名処から地方のマイナーなモノまで、文学賞のガイド本。一部大物選考委員についてのイジリ方が面白い。僕から見ても「ジュンちゃん」の直木賞選評はどうかなと思う事はあります。これ見てるとミステリ以外のエンタメ系が読みたくなる。あと、「”同人誌レベ…

『白昼蟲<ハーフリース保育園>推理日誌』黒田研二著

今どき珍しいほど古いアパート<平和荘>で殺人事件が発生。その場を偶然、望遠鏡で目撃してしまった次郎丸諒は、現場に急行するも、存在するはずの遺体はどこからも発見されず……。殺人、自殺、いじめ。次々と明らかになる悲劇の連鎖。惑わされ続ける事件の…

『ジェシカが駆け抜けた七年間について』歌野晶午著

カントクに選手生命を台無しにされたと、失意のうちに自殺したアユミ。ジェシカは自分のことのように胸を痛め、カントクを憎んだ。それから七年後、ジェシカは導かれるように、そこへやって来た。目の前には背中を向けてカントクが立っている。ジェシカは側…

『魔女とカルトのドイツ史』浜本隆志著

異端狩り、ユダヤ人狩りや魔女狩りの悲劇は、中世から現代にいたるまで、なぜ何度の繰り返されたのか?その真相をカルト発生の観点から読み解く。−表紙−子ども十字軍・ユダヤ人狩り・ハーメルンの「笛吹き男」・魔女狩り・ナチスの事例を記し、先のカルトが…

『日本社会の歴史(上)』網野善彦著

上巻は列島の形成から九世紀まで。全体を通して興味深かったが、特に「五色の賎」の1つの「陵戸」である。「陵戸」というのは天皇の墓の墓守を職としていた人。平民(=百姓*1)よりも職として高貴であるにもかかわらず、なぜ差別されねばならなかったのか…